特集智頭 

 
智頭杉と供に・・・製材所?サカモトの視点 
文/ 坂本晴信
 
 
 

全国のスギダラの皆さんはじめまして、鳥取県を代表する智頭杉を製材、加工しています潟Tカモトの坂本晴信です。代表の坂本トヨ子は母です。各地からのスギダラレポート楽しく読ませていただいています。
楽しそうなので良かったら智頭杉もお仲間に加えてもらえますか?簡単に智頭杉の紹介をさせてもらいます。

日本の天然スギは、南は屋久島から北は青森まで分布していて、この智頭町にも沖の山スギという名称で残っています。沖の山スギの特徴は枝の付き方にあります。写真で見てもらえますように枝が上を目指さずに一度下に下がってから上に伸びようとしているのが見てもらえると思います。

これは雪深い山の中で枝が折れるのを防ぐため進化したと考えられています。実は鳥取県の智頭町という所は結構雪が降ります。麓でも1m積もる

 
    下向きに枝が伸びています。雪の重みで枝が折れないように?!
 

ことがあります。沖の山は更に奥地なのでどれだけつもっているかはわかりませんが相当つもっていると思われます。余談ですが鳥取を代表する観光地である砂丘にも雪が積もります。砂丘に雪??なんて思う方もおられますがそれはそれできれいですよ!

さて話を元に戻します。このように雪や寒さに強い沖の山の天然スギから赤挿しにより人工林としたのが智頭スギのルーツとされています。厳しい冬の寒さにも強い遺伝子はしっかり受け継がれているものと製材しながら感じています。続いては材質の特徴です。基本的には冬が長いためか年輪(冬目)が分厚くしっかりしています。そして伝統的な智頭林業というものは若いうちに枝打ちを施す付加価値の高い丸太作りをしています。ですから節がない材料は得意です。もちろん節もきれいですよ。また直材が多く柾目に挽いても綺麗なストライプ模様になります。

   
   
  年輪(冬目)が分厚く節が少ない!   柾目に挽くと赤と白のきれいなストライプ模様に!!
   
  もちろんこれらの優良な性質を持った材は昔の人の知恵と苦労によって現代に残されていることを思わずにはいられませんが、伝統を重んじながらも更に研究を重ねているグループが智頭町にはあります。智頭町林業研究会(略して智頭林研)といいます。なんと18年度全国林業研究会グループコンクールにおきましてグランプリに輝きました!(祝!!) 人口1万人いない小さな町ですが、たくさんの杉に囲まれた緑あふれ、山を愛する人が多い、智頭町はそんな町です。残念なことに最も林業が盛んだったころに比べれば素材業者さんも3分の1以下に減ったと聞いていますが、それでも智頭町にある原木市場石谷林業さんには、智頭町の優良材が集まり月三回の競りには全国から買い付けにきています。
   
 
  智頭町内にある原木市場の競りの様子
   
 

ではそろそろ製材所潟Tカモトの話に移ります。サカモトは私の祖父の代から始まり、父に受け継がれ母に受け継がれ今に至っています。歴史的には創業50年くらいの若い会社ですが、杉へのこだわりは強いです。「杉を建築材料に使うなら乾燥材でなければ駄目だ」と父が木材乾燥機の開発に取り組んだのは今から20年も昔でした。知る人ぞ知る智頭杉「日本の家」設計コンテストが行われたのもちょうどその頃でした。それから杉を美しく保つために杉への塗装を始め、木材使用を制限された場所にも木材を使えるようにと難燃処理、準不燃処理木材にも取り組みました。最近では良質な智頭杉と長い間培った乾燥技術の融合で木製ブラインドの開発に成功しました。縦型、横型とありますがどちらも陽の光をやさしく通し、音や外気などをにわかに遮ります。

   
 
  智頭杉のブラインド・縦型 差し込む光を柔かくします。
 

アルミやアクリルのブラインドに比べ静電気が起こりにくいため、埃がたまりにくく、掃除が楽なところも自然素材のいいところです。こんな風に杉のもっている能力を充分に発揮できる商品をもっと増やしていければと思っています。

私的には杉ってすごいって思うよりもちょうどいいと思います。住居の支えになるくらい強いけど人間の手で運べないわけではない。食べられないけど体には優しい。成長するために水と光と二酸化炭素は必要だけど石油は必要ない。これからもそんな魅力的なそして仕事しながらも愛着の涌くような杉を大切に製材し、皆さんに喜んで使ってもらいたいと思います。最後になりますが智頭杉と言う名前でこんな商品が世の中に出回っていますよーって言うのをピックアップしておきます。興味が涌きましたら探してみてください。

商品  智頭杉印鑑、智頭杉のテーブル、智頭杉ブラインド

 

   
 
 
  ●<さかもと はるのぶ> 株式会社サカモト http://www.woodymind.com/
   
   
   
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