特集智頭 

 
鳥取杉旅行記
文/ 樫村八重子
 
 
 

3月14 日〜2泊3日で鳥取杉旅行に行ってきた。とにかく盛りだくさんの旅行であった。 メンバーはスギダラ東京支部長の萩原修さん、横浜の工務店、栄港建設の岡田雅人さん、 岡野美紀子さん、元住宅建築の編集長の植久哲男さん、鳥取出身の建築家である岡村泰之 さんとそのスタッフである私というメンバーである。 鳥取空港につくと「サカモト」の坂本晴信さんが大きなワゴン車で迎えに来てくれた。人 懐っこくいつもニコニコしている彼が、今回の旅の案内人である。 鳥取市内から車で走ること40 分、八頭郡智頭町へ到着。まず石谷林業の木材市場に立ち寄 る。市場が終わったばかりとのことだが、次々と杉や檜が運ばれてきた。

     
  広大な杉林に囲まれている。   なが〜い杉。みんな一斉にシャッターを切る。
 

そして「サカモト」に到着。「サカモト」は智頭町で「智頭杉」の加工・販売をしている 会社である。まずは事務所と併設されているショールームを見せてもらった。杉の柾目板 を羽にしたブラインドや柾目の接ぎ材で造った机(赤味と白味と2 色製作してあった)、 柾目をスリップ止めとした階段や杉の柾目のランチョンマットなどなど、杉材の特徴を生 かし、オリジナリティとアイディアあふれる商品が多数。

   
   
  ショールームにあった杉パーテーション   サカモトご自慢の杉柾目
   
  サカモトの工場敷地。製材された板がきれいに積まれていました。   サカモトの製材所の様子
  工場と裏手にあるご自宅も案内してもらう。工場はとてもきれいに整頓されていた。自社 製品に対する自信はこの品質管理からくるのだろう。ご自宅は構造材から床、階段、建具、 家具、ブラインド、外構のルーバーすべて杉。まさに「スギダラケハウス」である。 そんな、スギダラケな坂本さんを勝手に「スギダラ鳥取支部長」として任命式を行った。
   
 
 
坂本さんをスギダラ鳥取支部長に任命。右隣は晴信さんのお母さんで専務のトヨ子さん。
  夜は智頭町の割烹旅館「林」で宴会。やわらかくて身離れのいい鳥取の蟹を味わい、おい しい地酒を飲みながら「サカモト」の薄く、軽く、きれいな杉柾目でプロジェクトを企画 しようということに。萩原さん発案でプロジェクト名は「ウスギプロジェクト」。何か面 白いことができそう!と盛り上がり、1 日目を締めくくる。
   
   
  一日目宴会の様子   2 日目の朝。すがすがしくし出発。
  翌朝、慶長杉と言われる慶長年間に植林された杉を見学するために、役場の方の案内で山 林にいれてもらう。この当時の「植林」は全国でも珍しいということだ。間伐も行き届い ているきれいな山林(植久さん談)でマイナスイオンをたくさん吸い込み、山を下りた。
   
   
  山を登る。植久さん息切れ中。   慶長杉に抱きつく萩原さん。
  その後、ふもとにある石谷家住宅を見学。明治〜大正時代にこの地域は林業で栄え、その 財をもって建築された大規模木造住宅である。現在は国登録有形文化財、市が管理し開放 されている。規模もさることながら、とにかく、材料の使い方が半端でない。当時の林業 の繁栄ぶりがうかがえる。 石谷家を出て、智頭町の町並みをぶらぶら歩いている途中、「杉だま」が通りの家の軒先 にかけてあるのを見つけた。こんなところにも「杉」が。岡村さんの話によると、新しい お酒ができたら杉だまをかけるという風習があったようだとのこと。杉の産地の智頭町な らではの街並みであった。
   
   
  石谷家住宅の様子   普通はただの丸の杉だまがふくろう型に。
  旅行中、萩原さんが、鳥取に「中井窯」があることを思い出した。鳥取には吉田璋也がお こした鳥取民芸運動ある。中井窯は柳宗理さんの作品を焼いている窯である。これは見学 するしかいない!すぐに坂本さんが見学可能かどうか調べてくれて、突撃の訪問。坂本章 さん(鳥取県伝統工芸士)が型で作られた素焼き状態の作品が均一に並べられている工房 の中を案内してくれた。のぼり窯での焼き方なども詳しく教えてくださり、ついつい長居 してしまった・・。
   
   
  中井窯、工房の様子。   のぼり窯の説明を受けているところ。
  中井窯を後にして、岡村さんの実家のある、鳥取県東伯郡の東郷池を目指す。途中、夜に お会いすることになっている、因州和紙の中原商店さんの和紙照明が展示されているとい うことで、因州和紙の里、青谷町にある「おおや和紙工房」に立ち寄った。 そしてみんなが車内で寝静まったころ、池というにはかなり大きな「東郷池」に到着。ほ とりにある岡村さんのご実家「岡村玩具店」に寄らせてもらい、大人7 人でおもちゃをあ さる。そして、対岸の羽合温泉へ。2年前に岡村設計事務所で改修工事の設計をした「山 本土産店」に寄って、今夜の宿「翠泉」に到着。宴会が始まる。
   
 
 
しずか〜な東郷池
   
  山本土産店の店内   山本土産店、外から。見晴らしのいい角地にある。
  地元の向井建設の向井さん、山本土産店の山本さん(二人は岡村さんの同級生)と因州和 紙・中原商店の中原隆さん、賢一さん親子が宴会に合流。総勢11 名の宴会となり、またま た蟹を味わいながら盛り上がる。地場の材を使った住宅プロジェクト「ジゲハウス」の企 画や前日企画された「ウスギプロジェクト」、鳥取―東京の情報交換などなど。話しが尽 きず、2次会は部屋へ移動。地元の山本さん、中原さん、坂本さんが熱く呼びかけ、岡田 さん、岡村さんの勢いで火がついて「山本土産店プロジェクト」が発足!山本土産店中心 マップ計画や7m杉柱計画などなど、実現できればかなり面白い話が続出。このメンバー でできないことはない・・・!(坂本さんが議事録を残してくれてますよ!皆さん。)と すごい盛り上り様だった。(私が最初にダウンしてしまったので、何時まで盛り上がって いたのかはわかりません・・。)
   
   
  2 日目宴会1次会の様子。   宴会2 次会。お酒もかなり入りました。
  翌日は東郷池を後にして、倉吉へ。丹下健三の初期庁舎建築である「倉吉市役所庁舎」や 倉のある街並みなどを見学し、市内に戻る。最後に鳥取民芸運動の拠点となった「鳥取民 芸館たくみ」で昼食をとり、時間が押していたが、せっかくなので民芸美術館も見学。ギ リギリ空港に到着して、お土産の「豆腐ちくわ」を買って帰途についた。
   
 
  東郷池をバックに記念撮影。
  今回の旅行では当初2日目に「三徳山投げ入れ堂」を行く予定だったが、閉山中のため急 遽予定を変更した。アドリブ的で欲張りな旅になった。そして、岡村さんの紹介で鳥取の 楽しい方々とつながりを持つことができ、たくさんプロジェクトが発案された。せっかく 楽しい方々とつながりができたので。楽しいプロジェクトを実現させて、もっとリアルに つながれたらと思う。おそらくつながった方々は、皆同じ思いのはず。 またおいしいお酒を飲みましょう!!
   
   
   
   
 
 
  ●<かしむら やえこ> 岡村泰之建築設計事務所 http://www.amy.hi-ho.ne.jp/okmr/
   
   
   
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