連載

 

杉で仕掛ける/第4回 「スギダラに会議なし」

文/ 海野洋光

 

 
 

スギダラのメンバーは、不思議がるかもしれませんが、スギダラに会議はありません。海杉も仕方なし用意された外部の会議には、出席しますが、スギダラ自体が会議したことは、記憶にありません。何年か前に横浜で何かを話し合うために中華街で話をしましたが、(海杉は酔っ払って完全に寝ていました)これも会議ではないでしょう。だってお酒を飲んでカラオケルームでした。鍋が前にあって自己紹介をしているうちに時間がきてしまう。これを「スギダラ会議」というととんでもないと「会議」を生業にしている方に申し訳ありません。「とにかく集まって決めよう」と重要な議題があっても必ず、何も話さないで飲み方に突入してしまうのです。ですから、「杉談義」と海杉は名づけました。

   
 

いい加減、あきれるのですが、いつも結果が良いのです。なぜか、うまくいくのです。本当に重要なことがあるのにお酒が入ってしまい何を話すのも「叉今度!」で済んでしまうのです。仕事で毎日、会議、会議に追われている方、会議をしないで物事が上手くいくなんてとんでもない。詐欺の何者でもないと思うでしょう。魔王の力かもしれません。あはは!!

ここまで書いて、読んでいる方で多分、スギダラが会議をしていないことに気づいた人が何人もいるはずです。600人を超す全国規模の倶楽部が、会議をしていないことに気づかないメンバーもメンバーですね。

でもみなさん。考えてもみてください。いや、思い出してください。自分が友達と遊ぶときに会議をして決めましたか?楽しかった夏休みの海水浴や川遊びを友達と決めた時に机に向って決めたでしょうか?楽しくて仕方がないけれど、夕方になり帰らなければいけないときに友達と話した会話は「明日、何して遊ぶ??」では、なかったですか?

スギダラの場合、会議の元となるセンテンスは、全てWEB上か、電話とメールで済んでしまいます。最近できたコミュニケーションツールを使いこなしているのが、スギダラ流です。そして、本当に顔を合わせた時に血の通ったと言うかお酒を媒介にしてと言うか、現代人がもっとも必要としているコミュニケーションはきちんととっているのです。それが「杉談義」なのです。

会議で「多数決」と言う手法を用いることがあります。少数の者が多数の者の意見に従うというルールです。「多数決」は、民主主義の生んだ最高傑作と言われています。しかし、全てが多数決の手法で上手くいくかといえば、答えは「NO」です。特にスギダラでは、多数決は存在しないかもしれません。多数決を否定する=独裁政治?そうではありません。スギダラのメンバーは、意見の数の多さに従うのではなく、意見の面白さに惹かれていくのです。このやり方は、「この指とまれ」方式ですね。よくやりませんでしたか?子どものころ。面白そうだからやる。きっとすごいことになるぞ!そんな単純な理由でやってしまうのです。

一生懸命やる人がいるから、乗ってしまうのもスギダラ流です。前号でも書きましたが、自分のやりたいことが実現できる集団がスギダラなのです。自分ひとりではできないことが、スギダラの中ではできてしまうのがスギダラなのです。

   
  上崎橋
 

上崎橋にて スギダラメンバーの集合写真 

   
 

スギダラのメンバーを見て海杉は時々思うのですが、個性豊かなメンバーは、それぞれに自分のコアをきちんと持っている方が多いみたいです。スギダラの楽しさは、自分のコアにスギダラを接触させたり、スギダラの中に入れたりすることができるところにあります。文章で表現することは、難しいのですが、自己の活動にスギダラの活動を切ったり貼ったり自由にできるところに面白さがあるように思えます。
具体的な例が、日本木材青壮年団体連合会と鞄燗c洋行とのつながりです。普通の環境であれば出会うはずもない団体と企業が結びつくのです。他にも杉コレクションと言うデザインコンペもスギダラ無しでは語れない存在になっています。

   
  グリーンダイヤルページ   内田洋行の広告ページ
  木青連グリーンダイヤルページの表紙   鞄燗c洋行広告のページ
   
 

スギダラは、全国に支部を持ち事業を展開する集団ではありますが、団体組織ではありません。既存の組織の形態をしていないのです。大きな事業を起こし、成功させるためには、「組織」と言う枠組みは、どうしても必要であるという固定概念が私たちにはあります。そして、無理をして組織らしいモノをつくってしまいます。一つ目の事業は、何とか成功するのですが、2回、3回と回を重ねるごとに無理が生じ、崩壊する事例を海杉は、いくつも見て来ました。「3年目の○○○」というのは、あながち嘘では、ありません。

通常は組織として動くならば、規約があり、資金力やリーダーシップが求められてもおかしくはありません。会議を開かずにしかも、規約や資金もないスギダラが、いつも良い結果が出来たのは、スピードのあるセンスだと考えています。メンバーに会議と言う過程を経ないで意思の疎通ができる集団は、何を動かすにもスピーディになります。行動が早いと常に新鮮なネタで勝負ができますし、変更も自由自在です。ビジョンがしっかりしていて、それぞれの使命を理解していれば、後は、情熱と行動が決断を促すだけです。このような事業を成功させるには、臨機応変な対応力のある頭脳集団が確かに必要です。成功するには当然、参加するメンバーのセンスが、大きなウエイトを占めます。事業に初めて参加する方は、最後の仕上げの時にそのセンスの良さに感動するでしょう。メンバーがスギダラを理解する方法はさまざまですが、センスを理解するには、インターネット上の文章表現もひとつでしょう。それは、受動的な理解ではなく、能動的な理解を促す手法として適しているインターネットのBBSやこの月刊杉もそうです。会議をしないで事業が上手くいくのは案外、こういった文章(BBS・月刊杉)の積み重ねが、メンバーに共通の認識を持つことからはじまるのかもしれません。

   
   
   
   
   
 
●<うみの・ひろみつ>日向木の芽会
HN :日向木の魔界 海杉
   
 


   
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