短期連載
  住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第6回
文/写真 大坪和朗
  千葉県中山間農家のアプローチ『じょうぼ』の分析と考察
 
 
  引き続き事例紹介です。 今回から、様々なアプローチ形状の中から、 印象的な事例をピックアップしていきます。
   
  ■ 事例5
   
 

この敷地形状は少し変わったタイプで、特殊解です。
敷地内の道行きに趣があるのでピックアップしました。
じょうぼが長屋門を抜け、敷地の内部にも続いているというもの。
実はこのように敷地の内部に植栽を植えるようになったのは、
昭和30年頃にモミの乾燥機が普及し始めてからなのだそうです。
これについては後述するかもしれません。

   
 
   
  ■ 事例6
   
 

窪みの一番奥に位置し、その中央をアプローチするタイプ。
材木屋さんというだけに、立派です。
長い道行きを、僅かしか横に振らないことによる、景色の移り変わりは、
なかなかのものです。
どの物件にも共通していることなのですが、この微妙なさじ加減が、
非常に憎いというか、趣感をアップさせるのですよね。

   
 
   
  ■ 事例7
   
 

ひじょ〜に趣のある、アプローチ風景。
アプローチだけでここまで魅せるなんて素晴らしい。
蛇行したじょうぼを持つが、手前が下がっているために中腹が膨らんで見え、小道がS字を描いていることは、膨らみを超えなければわからない。そこがまたドラマチックなのです。

右に振られ、左に振られしながら、小道の曲線形状と、長屋門、それらを囲んでいる田畑や風景とのコラボレーションを楽しむ空間。

アプローチは、山裾を歩く旅なのだな〜と気付かされる好例です。

   
 
   
  さて次回は最期の事例、スケールの大きなアプローチをご紹介します。
   
   
   
   
 

●<おおつぼ・かずろう> 建築家
風景を思うことがライフワークであり仕事でもある。
建築「絶景」事務所とでも言ってみると楽しい。
大坪和朗建築設計事務所HP:http://www.otsubo-archi.com/
Blog:http://otsubo-archi.cocolog-nifty.com/

   
 
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