特集 北海道発、針葉組合結成とスギダラ道南支部設立

  北海道はトドだらけ
文/写真 上島信彦
 
 
 
   全国がスギだらけだと思ってはいけません。北海道ではスギは南の一部の地方しかなく、逆に全域に分布しているのはトドマツです。北海道でもっとも大きな割合を占めている樹種がトドマツ。体積の28%、人工林面積の52%を占めています。他にはカラマツ、エゾマツなどもあり、赤塚不二夫のおそ松くん六つ子のうち、2人が実在しています。(ちなみに、あとの4人、おそ松、一松、ちょろ松、十四松は樹木ではありません)
   
   トドマツも、もっともっと使っていかなくてはいけないのは、スギと同様。そのため、先日、南雲・若杉両氏の掛け声のもと、「針葉組合」が結成されました、たぶん。構成員は地元の製材工場や家具工房など、木材関係の業務に携わる方が主体で、本拠地は北海道のど真ん中からちょっと北の旭川です。「針葉組合」の業務は、地域の針葉樹資源も十分活用できるということを知っていただき、針葉樹をキーワードに街づくりを行う「針葉される街づくり」。我々が実施しなくてはならない項目は「ToDoリスト(トドリスト)」にまとめられています。
   
   近年、旭川といえば動物園ですが、家具の産地としても有名です。従業員260名余りの家具メーカーから、一人で活動されている工房まで、大小さまざまな生産者がおり、それを支える原木市、製材工場、教育機関、試験研究機関などがそろっています。
   
   ただ、家具・クラフトに使われる原料はほとんどが広葉樹であり、家具・クラフトの作り手にとっては針葉樹は「木ではない」かのような扱い。トドマツなど針葉樹を使った家具・クラフトはほとんど皆無です。
   
   一方で林業・製材業には「地場のトドマツも使ってほしい」との気持ちがあり、戦後に植林された人工林の樹木も太くなって、品質が安定してきたことから、家具・クラフト業界にラブコールを送り、針葉組合設立(?)と相成りました。
   
   我々の最初の業務は家具・クラフト用の乾燥原板を作ることと、その特性を知ること。その上で徐々に商品化を図って行きたいと思っています。市民・道民の皆様にトドマツを知っていただく活動や、依然として「針葉樹は木ではない」と考えている作り手に実物を見せて取組の輪を広げることも必要です。
   
   10年後、トドマツを使った家具は当たり前になっているはずです。針葉樹は、広葉樹に比べて傷つきやすい・強度が低いなどの難しさはありますが、やさしい感触・あたたかいなどの良さもあります。広葉樹と針葉樹、それぞれの良さを生かして、お客さんの好みに応じた多様な商品展開ができるようになると信じています。それと同時に、トドマツを育てる林業者、トドマツを挽く製材工場も、トドマツに自信を持って、より良い仕事ができるようになると信じています。
   
  山はトドだらけ
  山はトドだらけ
 
  工場もトドだらけ
   
   
   
   
  ●<うえじま・のぶひこ> 上川水平連携協議会
   
 
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