連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第1回(後編)→(前編)
文/写真 梶谷哲也
吉野の"山いき"が語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。
 

 さて、前編を読んだあなたは奥さん、家族、または自分自身を納得させチェーンソー販売店へと足を運びました。見た目に鮮やかなチェーンソーが並んでいます。ふと、そこにチェーンソーのカタログが。中身を見ると、そこには! 大きいのから小さいの、形も様々なチェーンソーがいくつもいくつも。ちっさく書かれた字を読むとバーがどうの、チェーンがどうの、ピッチがどうの……、全身から力が抜けていきます。

 そんなときは初心に帰りましょう。いったいあなたは何のためにチェーンソーを購入しようと思ったのでしょうか。自分の持ち山の手入れでしょうか。DIYでしょうか。ログハウスを建てますか。チェーンソー・アートでしょうか。その思いを販売店のおっちゃんにぶつけましょう。きっと最適な機種を選んでくれると思います。

 ……と、ここで終わってしまっても良いのですが、まだスペースもあるようだし、おっちゃんに変わって私のおすすめを一くさり。まず最初に排気量50cc以上のものは除外しましょう。これは完全にプロが使うものです。次に国産メーカーか外国メーカーか。これは色、形などで好きなものにしてよいと思います。メーカーそれぞれにエンジン特性、重さ、騒音も異なりますが、あまり気にせずにいても良いと思います。

 徐々に欲しいチェーンソーはしぼれてきましたか? 永く使うものです、しっかりと選びましょう。私がオールマイティな一台を選ぶとすると、40cc前後のものです。ただし、チェーンソー・アートがしたいならば、最低2台必要です。チェーンソー・アートは彫刻用のバーが必要となりますので、2台あるとよいのです。排気量で言えば、40cc以上と30cc前後のものとなるでしょうか。

 あなたは念願のチェーンソーを手に入れました。決して安くはない値段です。大事に使いましょう。と、使うにあたって大切なこと。非常に大切なこと。それは「安全」です。チェーンソーは正しく使えば決して危険な道具ではありません。しかし、不注意は即事故につながるのも事実です。各地でチェーンソーの安全講習が開かれています。この講習は義務ではありませんが、受けて損はないでしょう。近くに熟練者がいたら、ぜひその方に使い方を教わりましょう。とにかく安全第一で。

 


丸太を細くしていって伐り倒してしまった方が負けというゲーム。最後は1センチの 戦いに!

チェーンソーの上刃を使ってブラッシング。チェーンソーは木を伐るだけの道具では ないのです。

●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に
「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。

     
   
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