連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第3回
文/写真 梶谷哲也
吉野の山いきが語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。
 

 さて、「杉」について集うこの場で、一人マニアックな道をひた走っていますが、今回もチェーンソーの購入について書き倒しますのでついて来てください。さあ、行くよ!
前号までで、どこで、どのようなチェーンソーを購入したら良いのかを書きました。ここからは、同じ大きさのチェーンソーでありながら、数種類あるバーやチェーンについて書きたいと思います。
と、いきなり、皆さんついてこれているでしょうか。「バー?」みたいなことになっていませんか。写真を見てください。形状が異なるのが分かりますよね。長さも違います。これは少し分かりにくいかな。

 まずは、長さからみてみましょう。
普通チェーンソーを購入する際、バーの長さはその排気量にあったサイズから選べるようになっています。長いか短いか。
結論から言うと、どっちでも良かったりするのですが、長い場合は、大は小を兼ねるとなります。短い場合は、やはりその分軽く扱いやすいということになります。皆さんはどっちがいいですか? 
ちなみに僕は、短めのバーをつけるようにしています。仕事でガンガン使うような場合、少しでも軽い方が良いからです。でも、もう少しバーが長ければなあ・・・と思うこともしばしば。。

 次にバーの形状です。
細かく分けたらいろいろありますが、代表的な3つを。「ハードノーズバー」「スプロケットノーズバー」「カービングバー」です。
「ハードノーズバー」はその名の通り先端が固く、一枚の鋼板・・・いや、やめましょう。あまり細かいことを書いても自己満足に陥るだけです。「ハードノーズ」「スプロケットノーズ」はどちらでも構いません。なぜなら仕事中、違いを感じたことがありませんから。
「カービングバー」は、見た目からして違いますね。これは細かい作業の際、使うものです。「カービング」の名の通り彫刻をしたり、丸太でイスやテーブルを作る際にも適しています。逆に立木などを伐るのには向いていません。

 チェーンソー買うのって大変ですね。基本的には、販売店に行って使用目的を話しておすすめ品を購入したら良いんですよ。
でも、それではこの文章の存在意義が怪しくなるので、もう少しおつきあいを。

 チェーンソーって、そのチェーンも何種類かあるんです。大きい小さい形が異なって・・・もうすべて忘れましょう。いいんです、そんなことは。
私がここで言いたいのは、一緒にヤスリも購入するということ。
どんなに排気量の大きいものでも、刃が切れなければまったく仕事になりません。「チェーンソーは刃物である」ということをお忘れなく。刃物である以上、研ぐ必要があり、その技術はこれまた奥深かったりします。それはまた別の機会に。

 

スプロケットノーズバー。先端の絵の通り「コマ」がついています。覚えなくていい です。

カービングバー。バーの先端が細いだけで使うチェーンは同じものです。

ハードノーズバー。上下ひっくり返ってるのは片減りを防ぐため。しくじっちゃった わけではありません。
 最後に、書き忘れたことがあります。それは、チェーンソーのスターターロープは引きが軽いものを買いましょう!ということです。写真を見ていただけたら分かりますが、ここを引っ張ってエンジンをかけるわけです。これが実は重労働。カタい重い。男性でもうまく引けない人がいます。なので、引きが軽いタイプが販売されています。もうこれは絶対こちらを買いましょう。

 チェーンソーの購入については、ほぼ語り尽くした感があります。なので、次回はいよいよ購入後編に突入です。突入してどこまで行ってしまうのだろうか・・・

 なにか質問などありましたら、お気軽に連絡ください。がんばって答えます!

 
スターター: 中央右の黒いTの字状のもの。

ハードノーズバーとカービングバーを比較してみると、その形の違いがよくわかりま す。長さも少し違いますね。

 



●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。


   
   
  Copyright(C) 2005 Gekkan sugi All Rights Reserved