連載

 
スギダラ家奮闘記/第7回
文/構成 若杉浩一

「スギダラビル計画奮闘記録 」

 
 


 みなさんお待たせしました。ようやくスギダラビルのその後についてご報告しようと思います。その前にちょっと。実は、奮闘記の内容や表現について、とある部門からクレームがつきました。
「実名で、しかも詳細な内容が記述されている。企業として如何なものか?」
 ということなのです。説明はしましたが、社会人として如何であろうか?という事なので、心改めまして、お詫びと了解を頂きたいと思います。

注: 前回までの記述につきましてはあくまでも、名前その他の名称につきましてはフィクションであります。
特に、写真につきましては事実とは全く無縁の演技であります。昼間っから酒等あおる訳がなく、飲んだふりの写真であります。くれぐれも勘違いのないようよろしくお願いするとともに、誤解を招く表現であった事に対しお詫び申し上げます。筆者 若杉浩一

 ということで、フィクション版スギダラ家奮闘記をご紹介したいと思います。

 すったもんだありながら、スギダラビル計画は、寺田尚樹さん、我がメンバー親方石橋、そして当社インテリアデザインチームへと渡された。こりゃ〜盛り上がるぞ〜。なんせ家具、インテリアそして建築づくりまで体験できるのである。大きさからみても実験するには打ってつけの案件である。悔しいけどインテリアチームに大いに暴れてもらおう、そして僕らも手伝おう。社長(大親分と呼ばせてもらいます)、大親分の思いであるインテリアチームの作品化、デザイン力の検証の場として開放するという気持ちを応援しようと心に決めた。
ところがどっこい、ここからが波瀾万丈!! ただではすまなかった。
さて、その模様を寺田さんに報告してもらおう、てらださ〜〜ん!!

 
 

<以下、テラダデザイン関係者談>
 
   
 

 大親分に想いのタケをぶちまけてしまったテラダデザインメンバー。
 あぁ、たまらない恍惚感。
 これでメンバーもキョンシーから真人間に復活できたようです。設計やデザインというものは、背負い込んだモノの大きさに押し潰されそうになりながら生死の間を彷徨い、一筋の希望の光を見つけたらそれに突き進んでいき一気にそのアイデアを解放する。そんな作業の繰り返しだとテラダデザインの所長が云っていたことが思い出されます。
 そしてテラダデザインが恍惚感に浸っているのも束の間、さすが大会社の機動力です。早速プロジェクトチームが結成されました。リーダーとなるインテリアデザインチームの面々、若杉さんチームの親方石橋さん、そしてテラダデザインで設計を詰めていくことになりました。
 なんというコラボレーション!! メンバーは新たなる恍惚を皆で味わうことができるのかと思うとそれだけでお漏らししてしまいそうになるのでした。
 この段階でプロジェクトは、当初のスギダラ家から規模が約15倍に膨れ上がっていました。当然予算も比例して莫大になっています。この重大責任にどうやって立ち向かうか、早速デザイン会議が定期的に行われることになりました。
やるぞ〜!! 若杉さんもバックアップしてくれるって言ってくれたし。
 が、その会議から帰ってくる寺田は傷悴しきっているのです。どうやら、寺田の狭い経験のなかの「デザイン」というゲームとインテリアデザインチームの考えるゲームのルールが違っているようでした。
 野球のつもりでバットとグローブを持っていったらそこはサッカー場だった。
そんな感じのようでした。気まずいです。サッカー場でバットとグローブを使う新たなゲームのルールづくりから始めなければならなかったようです。
 メンバーは皆一流スター選手。プレーするのは上手いけど、ルールづくりには慣れていません。脳ミソが筋肉で出来ているのです。それを実感した寺田は絶望の淵へ……。またもや心肺停止状態、というか自らの脳死をも悟ってしまった寺田。キョンシーです。こんな試練が待ち受けているとは。でもこれが本当のデザインなのかもしれません。
 完成が遠のくスギダラビルでした。

 
   
  たまらない恍惚感に浸るメンバー。写真左より、平手、勝間田、寺田。
 
  つづく。


 
  ●<わかすぎ・こういち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンターに所属するが、 企業の枠やジャンルの枠にこだわらない活動を行う。
日本全国スギダラケ倶楽部 本部デザイン部長

 
 
 

 


 
   
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