連載

 
あきた杉歳時記/第4回
文/写真 菅原香織
すぎっち@秋田支部長から、旬の秋田の杉直(さんちょく)だよりをお届けします ・・・・
 
   
 

なごり雪で花が咲いていた桜にも、ようやく本当の開花が始まりました。桜だけでなく、梅、水仙、レンギョウ、コブシ、桃、と百花繚乱とはまさにこのことではないかと思う程、北国の春は一気に咲いてまいります。その勢いにつられてか?秋田支部も着実に会員数をふやし、会員も百花繚乱とばかりにスギィ美男美女(!)が集結しております。5月初旬には、二ツ井で第2回秋田支部の懇親会を予定。詳しいことは北のスギダラでも告知しますので是非お越しくださいませ。

さて4月は年度の初めです。NPO法人、ボランティア団体、などさまざまなところに首をつっこんでいる私にとっては超ハードな1ヶ月。収支決算、報告書、税金の減免申請。それが終われば今年度の総会の準備、助成金の申請など、夜な夜な老眼の目をこすり、コーヒーをがぶ飲みしてパソコンに向かう日々であります。
端から見れば何でそんなボランティア活動に精を出すのかって、不思議に思うかも知れないけど、1度味わってしまうとやめられなくなる魅力(魔力?)があるのがボランティア活動です。
私が主に取り組んでいるボランティア活動は「まちづくり」に関すること。テーマはいろいろあって、バリアフリー、IT支援、まちなみ景観、文化と地域づくり、そしてスギダラ。どれも、秋田がもっと美しくて住み良いところになってほしいという思いが根っこになっています。
単なる希望(妄想?)かもしれないことも、同じ思いを持つ仲間と出会うことで共感をしてもらえたり、本当に実現できたりするとそれだけで嬉しいものですよね。一緒に歩いていける、夢を語り合える、遠慮なくボケと突っ込みができる……、職場や家族、友人とも違う不思議な関係が与えてくれるエネルギーが、私にとっての活動の源かもしれません。

先日も、雄和芸術文化協会から、昨年の11月にコーディネーターを務めさせていただいた「文化と地域づくりワークショップ」を、今年度も継続していきたいということでオファーがあり、早速打ち合わせをしてきました。
雄和は秋田空港を持つ秋田市の空の玄関口で、雄物川と田園と里山の風景が美しい町です。雄和の伝統文化といえば、民謡の大正寺おけさ。長崎県平戸市で唄われていた「はいや節」が、江戸時代、北前船によって伝えられたものがルーツだとか。雄和の大正寺は、内陸部にありますが、土崎港から雄物川をさかのぼった船の中継地であったことから、おけさ節が根付いたといわれています。また、雄和の女米木地区は正岡子規門下で子規門四天王と称された俳人石井露月の出身地で、石井露月顕彰全国俳句大会や、こどもハイクキャンプなどが開催されています。
第1回目のワークショップでは、芸術文化と農業という地域の財産を活かした地域づくりをめざして、同じ思いを持つ人たちが出会い、思いを共有しようという目的で開催しました。第2回目となる今回は、ぜひ具体的な目標を立てて達成するためのアイデアを考え、さらにワークショップに参加した方々が、実行部隊として活躍できる後押しになるようなプログラムを考えています。それは、せっかく思いを寄せ合って考えた「こうだったらいいな」という夢を絵に描いた餅でなく本当に実現できるんだという体験を参加者の方達にしてほしい、と思うからです。最初は小さいステップでも、達成することでワクワクしたり、なんだか楽しいな〜と例の魅力(魔力)にとりつかれて「やみつき」になってくれたら、誰に頼まれたわけでもないのに、きっと勝手に体が動いちゃう、それが地域を作っていく力になるのではないかな、と密かに目論んでいるわけです。
以前、きみまち塾の開塾の時、秋田県立大学木材高度加工研究所教授の鈴木有先生が、まちづくりには3種類の「人」 が必要だとおっしゃっていました。
「全国的にまちづくりが『うまくいっている』と言われるところには必ず、3種類の人がいます。まずは、まちをよくしたい、という想いをもって、その一心でのめりこんで行動する『住民』、そのパートナーとしての(これは地位のある人でないことが多いのですが)『行政職員』、それから第三者でまちづくりのプロでもある『よそもの』。この三者がいないと、まちづくりはうまく行かないようです。(モクネット資料編よりhttp://mokunet.or.jp)」
ある講演会でもまちづくりに必要なのは、「若者、よそ者、ばか者」と講師の方がおっしゃっていました。わたしも実は「よそもの」です。(とはいっても秋田在住18年なので、かなり地元民化していますけど)だから、しがらみとかタブーとかあんまり関係なく、思ったことをストレートにいったりしたりできるのがいいのかも知れません。そして決して若くはありませんが、高齢化の進む秋田ではまだまだ若者だし(笑)、寒〜い駄洒落も連発するし(ばか者?)、まちづくりには十分素質があると勘違いして、日々邁進しております。

 
 

今回の秋田杉歳時記、本当は別の話題を考えていたのですが、スギダラBBSで小町さんが書き込まれた「スギダラ創設の精神」の「ヘンな人たちがよってたかって笑顔で攻めてくる……」って一節と、そのイメージ映像にインスパイアされて(笑)書きました。でもやっぱり杉の話題もないとなァと思って、雄和の民話にも出てくる、秋田市の天然記念物「八田の親杉」と「玄海の松と杉」伝説を紹介します。
 
雄和町に隣接している秋田市下浜八田字宮田にある俗称「玄海の崎」。その尾根のせり出した先端に繁る樹齢300年、目通り周囲5.6m、樹高27mの「玄海の松と杉」と、樹齢400年、目通り周囲5.1m、樹高30m、樹形が素晴らしい「八田の親杉」。

 

 
「玄海の松と杉」は種類を異にする珍しい「めおと樹」でした。親杉の手前に絡み合って繁茂していましたが、松は平成8年に松喰虫の被害に遭い、惜しくも伐採されて今は杉だけが残り、玄海という僧と長者の娘お杉との悲恋伝説が語り継がれています。

 
   
 

玄海の杉(手前)

 
   
  八田の親杉

 
   
どこか寂しげなお杉
 
 

  ●<すがわら かおり> 教員
秋田公立美術工芸短期大学 産業デザイン学科 勤務 http://www.amcac.ac.jp/
日本全国スギダラケ倶楽部 秋田支部長
 
 
 
 


 
   
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