鬼塚電気工事 ZEB社屋に集った思い
 

ZEB社屋設計への挑戦

聞き手/倉内 慎介

   
 
   
 
一. 電気設備設計の現場から   沓掛辰生 営業部次長
二. 電気設備工事全般の管理の立場から   日名子靖人 執行役員工務部長
三. 工事管理の現場から   安東禎志 工務部主任
四. 施工の現場から   荒木辰雄 工務部工務部現場職長
五. 空調・衛生設備の現場から   鶴原達美 鬼塚電気産業代表取締役社長
    古城宏明 鬼塚電気産業 見積設計 部長
六. 総務から   藤澤慎一 執行役員総務部長
     
 
   
  一. 電気設備設計の現場から
  沓掛辰生 営業部次長
 

電気設備工事の設計全般を担当しました。当社には設計部という部署がないため、営業部が設計を担っています。設計する時に重要なのは工事の内容がわかっていること、しかもかなり踏み込んだところまでわかってないとできないものです。あとは経験ですよね。

新本社のこだわりを教えてください。
実際に自分たちが使う建物だから、よりいいものを作りたいという思いはありますね。給排水や空調は、同じ建物内で働く 鬼塚産業の古城さんが担当され、僕は照明や電気を使いやすいようにということを考えてやったかな。いちばんの得意とするところです。

こだわったところとしては、照明の自動制御の細やかさですね。センサーによって自動で照明が灯いたり消えたりしますが、エントランスや廊下と事務室ではセンサーの種類を変えています。エントランスは人が来たら灯いて時間が経ったら消える、というだけですが、事務室は"微動センサー"といって、紙がちょっと揺れても反応するくらい感度の良いセンサーをつけています。普通のセンサーは、じっとしていると消灯するのでデスクワークに合わないんです。

あとは、分電盤の中についている電流計ですね、どの回路につけないといけないかということを配線と合わせてずいぶんと考えました。『ZEB』対象なので、細かくどこにどのCTをつけないといけないか、というあたりに頭を使いました。普通、分電盤を見ることはないと思いますが、カバーを透明アクリルパネルにして、見える化しています。分電盤の中をいかにきれいにするか、というのは施工を担った荒木くんがやってくれている部分です。

新しいオフィスはいかがですか?

快適ですよね!基本的には自動で調整されていますので。
あと、デジタルサイネージでエネルギーの状態をよく見ています。今日はあまり太陽が出ていないのでさほど変動はないですが(注:取材日がくもりでした)、使っている電力に対してこれだけ発電しているということがわかると、ちょっと嬉しいですよね。見ていても気持ちがいいし。年間通してみると、やはり夏場は効果が大きいです。暑い時にエアコンをジャンジャン効かしても、太陽光でガンガン発電していたら、まあ電気を使ってもいいかな、と。逆に発電していなかったら、少しがまんしようかな みたいな気持ちにもなります。
今後、お客様のエネルギー状況の資料をもらって提案内容を検討していくときに、このシステムがあると考えやすいので、どんどん提案していこうと思います。

   
 
   
  ●<くつかけ・たつお>
   
 
   
  二. 電気工事全般の管理の立場から
  日名子 靖人 執行役員工務部長
 

電気設備工事全般の施工の管理者です。建築と設備と整合性をとる打合せから参加しています。

水素発電は初めてでわからないことが多く、タンクの上に屋根が必要とか、搬入は横にずらさないといけない、専用の配管が必要、というような諸条件があり、都度対応していきました。太陽光はずっと手がけているので良いのですが、蓄電池は通常よりも大きいものをいれていますので、施工しながら設計も調整をするような感じでした、設計段階での計算上の予測ではなかなかうまくいかず、機器を増やすのと合わせて打合せを重ねながら、できあがっていきました。設計側も初めての内容になるので、どううまく噛み合わせるのか、というところが難しかったですね。いろんな発電装置を組み合わせてひとつにするため、設計側に施工上の問題をフィードバックしながら、最終的に今の形になりました。

評判はいいのですが、風力発電や水素発電も研究段階のものをいれているので、1年間はうまく動かないこともあり、最近ようやく問題なく動くようになりました。メーカーも完成品に近づけるために、現場を見ながら一緒にやってきています。各機器メーカーもつなげたのは初めて、どういうふうになるのかもわからないというくらいの状況でした。これは私どもが電気工事の会社で、自社ビルが対象だからできたこと。お客さまの現場では到底できないです。

お気に入りのスペースは?
普段は自席にいます。テーブル天板の厚みが通常の倍くらいあり、お客さまからは評判がよいんじゃないでしょうか。普通ここまでお金をかけたりしないですよね。天板が傷つかないように風合いを大事に使っています。

   
 
   
  ●<ひなご・きよと>
   
 
   
  三. 工事管理の現場から
  安藤禎志 工務部主任
 

電気設備の工事管理責任者です。太陽光や水素発電、風力など、機器類の連携のところが難しかったですね。太陽光以外は通常の工事では扱わないので初めての経験ですし、施工も手探りでした。ですがうちにはもちろん直営の部隊がいますので、何かが起こってもすぐ対応ができるところは良いところです。

新しいオフィスはいかがですか?
空間というのは、寒いとか暗いとか 何かが不快だと気にとまるものですけど、快適に保たれているので、普段意識することがないですね。1年くらいたつけど不快なことはありませんでした。これから他社への提案にも活かせるんじゃないかと思います!

   
 
   
  ●<あんどう・さだゆき>
   
 
   
  四. 施工の現場から
  荒木辰雄 工務部
 

電気設備工事の現場の職長です。図面を見ながらコンクリートの打ち込みのところに仕込むボックスとか、着工当初から入らせてもらってます。特に風車は100トンクレーンを使って建てたんですけど、ああいう経験はなかなかできないんじゃないでしょうか。

平成7年に入社して以来、電気工事をさせてもらっているんですけど、今回の工事ではやはり『ZEB』ということで、いろんな初めての経験ができたということと、自社ビルを経験できたというのが大きいと思っています。

勤めている間に会社のビルが新たになり、またその現場で工事に携わらせてもらえるとは、非常に貴重な経験をさせてもらいました。自分がいる間だけでなく、退社してからもずっとビルは残りますから。後々このビルの工事は誰ががしたんかなというようなことに、気づいてくれる人がいればいいなという感じですね。
   
 
   
  ●<あらき・たつお>
   
 
   
  五. 配管・空調工事の現場から
  鶴原 達美 鬼塚電気産業代表取締役社長
  古城宏明 鬼塚電気産業 見積設計 部長
 

古城) 高効率空調のなかにも3段階ありまして、『ZEB』にするために高効率空調の中のハイグレードというクラスを使っています。同じ理由で、換気も空調換気扇にしています。これらを使わないと『ZEB』のBEI値(Building Energy Index)が0.5を切らないんです。BEI値というのは、建築物のエネルギー消費性能計算で算出される指標のことです。この値が0.5を切るとZEB Readyという判定となります。空調換気扇というのは排気の際に給気も同時に行いますが、外気を室温に近づけて取り入れる機能がついているものを指します。また、CO2センサーが付いおり、CO2濃度が上がると強運転に変わる機能ももっています。これも『ZEB』にするためです。

   
 

鶴原) 換気はCO2センサーがついていて、CO2濃度が上がると自動で運転開始するよう設定しています。オフィス内のCO2濃度のデータも常に計測していて、機械の運転状況もわかるようにしていますので、それを見ればCO2濃度が一定に保たれていることがわかります。CO2濃度が上がるとコロナの罹患率が上がるという話もあったので、時期的にもちょうどよかったですね。実際、コロナの罹患者も少なく、社内での感染はゼロでした。

   
 

木材利用についてはいかがですか?
古城)感覚的な話ですけど、コンクリだけの建物に比べてやわらかいですよね。温度、湿度の調整にも貢献しているんじゃないんでしょうか。木は湿気を含んで乾燥すると吐き出すので。コンクリートは温度差で濡れることもあるけど、木はあまりないですよね。

鶴原)加湿もしていますけど、木は水分を吸い込むから乾燥剤の代わりになるくらいです。昔の漆喰の壁みたいな効果ですね。梅雨のときに梅雨の感じがしなかった。前の社屋はすぐにびちょびちょになったもんね。あとやっぱり、素のままの木質感がいいなと思います。

   
 

お気に入りの場所は?
古城) 屋上かな。テラスがあるのはいいですね。もう少し暖かくなったらさらに気持ちがいい。

鶴原) 芝生の色もね、もう少ししたらきれいになります。3階のスペースは和らぐね。
芝生の灌水設備も私たちで施工してまして、自動的に水やりするようにしています。ゴバイミドリさんから教わった季節ごとの水量と時間を、年間スケジュールを組んで月毎に設定しています。やっぱり枯れてないか気になって、見てしまいますね。昨年は美しく芝生が色づきました。

あとは、前の社屋に比べたらトイレの数も大幅に増やしてきれいになって、ウォシュレットもみんなつけてるけん。良いよね。

   
 
 
     
●<つるはら・たつみ>   ●<こじょう・ひろあき>
   
 
   
  六. 総務から
  藤澤慎一 執行役員総務部長
 

最終的な支払い関係の調整とか、内部的なまとめを担当しました。総務として新しいオフィスの使われる様子を見ていますと、新しくなって心地よいだけに、なるべくきれいなままで使おう、きれいに保つようにしようという心がけが増えたのではないでしょうか。以前のオフィスは維持していくことで精一杯でしたけど、新しくなったが故に、だらしなくできないという感じはありますよね。大変喜ばしいことです。

お気に入りの場所は?
自席が一番落ち着くようになりました。前の社屋はかなりせまくて通り抜けるのも大変なくらいだったんですけど、広くなりました。周りもよく見渡せるようになったので、誰がいるかいないかすぐにわかりますし、話しかけやすくなりました。

   
 
   
  ●<ふじさわ・しんいち>
   
   
 
   
   
 
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