鬼塚電気工事 ZEB社屋に集った思い
 

鬼塚電気工事(株)新社屋木質内装化するにあたり

文/三宮 康司

   
 
 
   
 

鬼塚電気工事さんの新社屋を建築する計画があり、「内装に大分県産材をふんだんに使用しようと思っているんだよね。」と尾野社長より話がありました。また、「内装デザイン計画については若杉さんにお願いするようになるので、よろしく頼むね。」と.....

そこから、どこで伐採された木材なのか?がはっきりわかる形で、私は丸太の手配等に奔走することになりました。要するに、木材のトレサビリティです。この段階では、大分県産材をどこに・どのように使用するのかは不明でしたが、大半は家具での使用だろうと思い、集成材化する事を前提とした、長さ・径級での伐採(玉切り)を依頼しました。工程から考えられる納期を予測し、その1年以上前から順次、製材・木材乾燥を始めました。そんな事をしていると、徐々に使用箇所なども分かってきて、製造可能な集成材サイズを提出し、それに合わせて、最終図面作成をパワープレイス・小林さんにして貰いました。

ここまでの流れで一番難しいのは、トレサビリティと仕分けです。現在、一般的な丸太の流通形態は、山主から依頼されてから、森林計画・伐採届を作成し、伐採→素材市場→製材→加工→小売販売という流れで進んでいますが、素材市場でどこの山で伐採されたものかまでは、表記されておりません。ですので、今回は森林計画・伐採届の作成時点での情報を貰い、そのまま素材市場を通さず、現場からそのまま当社工場の土場へと搬入して貰いました。

   
 
   
  その後、搬入した丸太から製造に適した材料を抽出する為に、長さ・径級・曲り(直材・小曲・大曲)などで仕分けをしていきます。以外に、この作業は時間がかかりました。製材から集成材製造ですが、節がある材料を使用します。なかなか生節ばかりなんていう木はあまりなく、死節を埋め、なるべく生節が多い面を天板にするように作業を進めて行き、木の色合いもあまり極端にならないよう、出来るだけバランスよく集成材化していきます。そして、スチール家具に合わせるように、NCルーター加工機を使用し、鬼目ナット位置や繋ぎ部の加工を行い、最後に指定塗料を使用しの塗装工程を経て、完成となりました。
   
 
   
  鬼塚電気工事さんは大分市内の会社だったので、出来れば大分市の山の木を使用出来ると良かったのですが、使用数量から日田の丸太で製造しました。大分市内の山なら、伐採中の見学や植林状況確認など、尾野社長が思う地方創生がもう少し身近に感じる事が出来たのではと思っています。地元を元気に!地元の山を元気に!と思ってくれる会社に出会えたこと、木材業界人として本当に感謝しています。これからも、今回の課題を解決出来るように、進めて行きたいと感じました。
   
 
   
   
   
   
  ●<さんのみや・こうじ> スギダラケ倶楽部 北九州支部 大分分会 分会長 / 志村製材有限会社
   
 
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