連載
昨年の今頃は秋田市で積雪が40センチ近くあったのに、12月にしてはめずらしく青空と日差しが顔をのぞかせたりと、雪のないおだやかな年の瀬を迎えています。毎日雪かきに追われていた昨年のことを思うと本当に楽でいいのですが、降らなければ降らないで今度はなんだか物足りないような、厳しくても美しい雪景色が待ち遠しいような気がします。なによりスキー場などは、早く雪が降らないかとやきもきしていることでしょう。 さて、いくつものプロジェクトが平行して行われているためか、この秋から冬は文字通りあっ!という間に過ぎてしまいました。タイトルをざっと書き出してみると「第2回文化と地域づくりワークショップin雄和」「第3回全国木偏のNGO・NPOサミット」「杉デザインワークショップ」「杉を活用した体験型観光の可能性」「秋田杉ブランド推進事業」、18年度内に結果を出さないといけないものが「生活・文化環境資源の検証と持続的地域コミュニティ構築およびエコ・ツーリズム展開プロジェクト」「白神山麓・窓山デザインコンテスト」「二ツ井町まちなみ景観デザイン」「杉プロダクトデザイン研究」など。もちろん本業やボランティア・NPO活動、スギダラの情報発信もあり、ちょっとやり過ぎかナーとも思うけど、いろんな人との出会いがあって勉強にもなるし、充実した時間でした。 そしてまたタイトルだけ見てもつくづく「杉」に関する活動が多くなって来たなと感じます。3年前、自宅の改築を機に自分で使って楽しむところから杉との付き合いが始まり、スギダラに入ったことで宮崎をはじめとするたくさんの杉の産地での活動を知り、あらためて秋田と秋田杉のこれからについて考える機会が増えました。 秋田杉といえば、「和室の化粧材=高級品」というイメージが定着していますが、これは天然秋田杉のイメージです。すでに天然秋田杉はほとんど採りつくし、いま伐期を迎えつつあるのは戦後から「1万ヘクタール造林運動」時代(昭和40年頃)にかけて植えられた40〜50年生を中心とする若い杉です。一般的には杉は35年で伐期を迎えますが、秋田杉は他の地域の杉と比べて、初期成長が比較的緩慢な反面、高齢級でも成長が持続するため、秋田杉産地の特長である大径木から芯去りの柱・梁などの構造材を製材できるような材をとるためには75年生以上が必要です。いま伐期を迎えつつあるからといっても、40〜50年生ぐらいの杉は全国どこにでもあるし、同じ土俵で競っても秋田杉の良さは発揮できません。米代川流域の産地の特長を生かした「長伐期林業」を行い「秋田杉ブランド」を再構築するためには、あと半世紀が必要です。人生80年に例えれば、今の秋田杉は子育て世代。健やかに育つよう、一人前になるまで手間ひまかけ、お金もかけて育てていく一番つらい時期なのですね。 ただどうしてこうなってしまったのか、ということを調べていくと、国の林業政策の失敗や戦争の影響が大きいこと、さらに高度成長期後先のことを考えずに天然秋田杉を採り尽くした時代のこと、安い輸入木材による圧迫やライフスタイルの変化で生活に杉が使われなくなって来たことの影響など、問題がいくつも重なっていてどこから手をつけていけば解決するのか、よくわからなくなって暗い気持ちになりますが、そうしている間にも杉は育っているのです。
引き続き・・・ 「白神山麓・窓山デザインコンテスト」作品募集中! 事前応募登録〆切:2007年1月10日 作品応募〆切:2007年2月20日 詳しくは窓山ホームページ http://www.madoyama.jp まで。