連載

 

小さな杉暦 3月4コマまんがのおまけもあります

文/写真 石田紀佳
あのスギぼっくりからとびだしたスギの種が、再びスギぼっくりを鈴生りに するまでのほんの歩みはじめの記録。
 
  2月の最後の日に部屋の中から外に出したスギ2鉢とヒノキ1鉢。冷えこんだ日も ありましたが無事におります。
   
 
  すぎひのき3/29  外に出て一ヶ月になる3鉢。スミレの花咲く渋谷区代々木上原の小庭で
   
  売れ残り杉改め嫁入り前杉3/29
シダやらキク系の小さな草と共存。ひきつづきもらい手募集していたところ関西にいくことになりました! ありがとうございます。
  杉苗3/29
そろそろ枝払いをするのか、間引くのか。ちょっとひょろひょろしているような
 
  杉先っぽ3/30  ツヤがあります。こうやって拡大すると多肉植物のようです
  この季節、見たくもないという方もいらっしゃるでしょうけど、雄花が咲いています。
3月4日にあの定点観測地で撮影しました。このスギは、雄花と雌花が隔年で交互にたくさんつくようです。おととしにスギぼっくりすなわち雌花の行方を追い、鈴生りのスギぼっくりを見たのですが、雄花はこの木にはほとんどなかったのです。去年はスギぼっくりはほとんどできず、なんだかさみしいなと思っていたら、雄花の花芽が成熟していたのですねえ。
わたしの2年だけの観察によると、どうやらスギは違う個体の樹からとんでくる花粉で実を結ぶようです。風媒花ですものね。今育てているスギ苗ちゃんたちも、お父さんはどこからか来たのでしょう。風来坊なやつです。ですから、どんな樹に育つのか、まさかヒノキとのハーフには(花粉のとぶ時期も違いますし)
ならないでしょうけど、実生だといろんな性格に育つというわけです。先行きが楽しみです。
   
   
  スギ雄花上から3/4  房が放射状につきます   スギ雄花横3/4  飛散ちょっと前
   
   
   
   
   
 
 
 

 

●<いしだ・のりか>フリーランスキュレ−タ−
1965年京都生まれ、金沢にて小学2年時まで杉の校舎で杉の机と椅子に触れる。
「人と自然とものづくり」をキーワードに「手仕事」を執筆や展覧会企画などで紹介。
近著「藍から青へ 自然の産物と手工芸」建築資料出版社

   

   
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