特集 ティンバライズ九州展 「Let's Timberize! in 九州」
  スギダラメンバー報告1:「Let's Timberize! in 九州」までの道程
文/ 田中浩史
   
 
 

僕の前に杉はない、僕の後ろに杉は出来る
ああ、自然よ 杉よ 僕を一人立ちにさせた広大な杉よ・・・
(すいません、導入が長杉)

   
  みなさま、お久しスギです。
宮崎県庁の山村・木材振興課で「杉コレ」を担当させてもらってから、はや6年、2008年12月以来の寄稿となりました。
 

*参照:前回寄稿、月刊杉40号(2008年12月号)特集「杉コレクション2008報告」

  昨年4月から、出先事務所である宮崎県福岡事務所(天神)に在籍中です。
ここ福岡は、スギダラ3兄弟千代田さんの出身地、しかも、千代田さんは現在、当事務所から歩いて5〜6分の所にお勤め。直接的な業務で繋がりがある訳ではないが、これまでも何かと助けてもらっており、今回も、とりあえず何でお世話になるか分からないのでお近すぎの印に、赴任して杉(直)に千代田さんにご挨拶。
   
  年度当初(4月)の県庁での会議で、9月に福岡で開催される木材の展示会に、宮崎県産材の木材ブースを出展する事業があるとだけ説明がありましたが、その時点で具体的な進め方は未定でした。
5月、6月と時間だけがスギて行き、7月に入り、どうしようか・・・と。
その時、ひらめいたのが、「そうだ!千代田さんがいた!」と。
   
  早速、7月23日に相談に伺ったところ、「おもしろいね!」と即快諾。
8月6日には、事業実施主体の隊長であるヤマワ木材の若松社長とイメージの擦り合わせ、8月8日には図面起こしと、トントン拍子で事は進みすぎ?と思えるくらい進展し、無事に9月の展示会に間に合わせることができました。
千代田さんには、この「宮崎県産材ブース」、通称「杉インフィル」を、大径化した宮崎県産材の特徴を活かしたデザイン設計で仕上げてもらいました。
   
 
  「杉インフィル」デザイン案。部材は宮崎で揃え、プレカットされ納品されました。
   
   
  当初、9月の展示会の為の「杉インフィル」でしたが、その後も、当事務所が実施するイベントに活用され、多くの方々にお披露目することができました。
   
  福岡における杉インフィル活用実績
 
  イベント名 開催場所 期間 来場者
1 ナイス住まいの耐震博覧会 マリンメッセ福岡 9/22〜9/23 約13,000人
2 古事記編さん1300年神話のふるさとみやざき展 九州国立博物館エントランスホール 10/16〜10/29 約76,000人
3 Let's Timberize ! in 九州 アイランドシティ中央公園  11/17〜11/25 約 1,400人
   
   
  「杉インフィル」初めてのお披露目は9月のイベント、ナイス住まいの耐震博覧会。なんとすばらしい、デザイン案通りの完成度 。   ナイス住まいの耐震博覧会にて、「杉インフィル」を県産材ブースとして使用。多くのお客様で賑わいました。
   
  10月のイベント、古事記編さん1300年神話のふるさとみやざき展にて。会場の雰囲気にマッチング〜。
会場である九州国立博物館エントランスホールの天井の内装丸太材(約3,000本)も実は宮崎県のオビスギだったんですね〜。 是非一度、足をお運びください。 壮観ですよ!
  設営や撤去は、苦しい台所事情から、お金をかけられない分、人海戦術を取らざるを得なかったため、当事務所の木材担当以外の職員にも加勢してもらうなど、最後は皆、手慣れた職人と化していました。
   
   
  そして、福岡でのイベントの締めくくりが、今回の「Let's Timberize ! in 九州」でした。9月に「杉インフィル」が出来上がる頃、千代田さんから、11月に福岡で木造建築関連のイベントがあるんだけど・・・と出展のオファーがあり、今回の参加となりました。
「杉インフィル」には、日南市のobisugi designが展示され、地元から飫肥杉課の河野健一さんも駆けつけてくれました。
また、期間中、大相撲九州場所千秋楽で宮崎県知事賞表彰(ちなみに副賞は和牛オリンピック日本一2連覇の「宮崎牛」一頭分と野菜と果物1トン分です!!)のため、来福していた宮崎県河野知事にも来場いただき、杉インフィルや都市空間における木造建築計画を興味深く拝見してもらいました。
   
 
  「Let's Timberize ! in 九州」での杉インフィル設置状況。改めて感じたのは、杉はどんなシチュエーションにでもマッチする素材であり、その素材を活かした素晴らしいデザインです!
 
  主催者スタッフの説明に、興味深く聞き入る河野知事(写真右端)。実行委員メンバーでもある千代田さん(写真左端)もフォロー。
 
  子どもから大人まで楽しんでいま す! 日田の屋台も参戦しました!!
 
  最終日の反省会。やっぱり、これをやらなきゃ、次が始まらない!!こうやって、強い杉絆が広がっていくんですね〜。
   
  その後「杉インフィル」は、「Let's Timberize ! in 九州」での展示を最後に福岡を離れ、故郷の宮崎に戻り、宮崎市のみやざきアートセンターでの「森のおもちゃとアート展」で1ヶ月展示された後、公共的な空間に常設展示される予定になっています。
   
  振り返ってみると、「Let's Timberize ! in 九州」については、月刊杉85号の第二特集「2012年を振り返って」で、初めて知ることになりましたが、杉(既)に6月には、若杉さんから千代田さんに特命が下っていたんですね。「騒動を起こせ!杉騒動を!」と。そんな事とはすぎ知らず、そのレールにしっかり乗って(乗せられすぎ?)いたことに最近気づいたところです。
   
  おかげで私の福岡事務所での1年目は、杉インフィルに始まり、杉インフィルで終わった、充実感の残る2012年でした。これも皆、千代田さんをはじめ、若松社長、(有)バックアップトーワ、当事務所の仲間ほか、関係者の協力、努力、体力の賜と考えています。改めてお世話になった関係者の皆様に心より感謝したいと思います。
これからも、利害関係を超えたスギダラパワーと杉絆で、皆様を巻き込みながら「杉騒動」の一端を担って参りますので、今後とも引き続きよろすぎお願いいたします。
   
 
   
  *以前、千代田さんの連載「スギダラな人々探訪」にて杉インフィルを初披露したイベント「ナイス住まいの耐震博覧会」の記事を掲載しています。こちらも合わせて参照ください。(月刊杉編集部)
  スギダラな人々探訪/第59回 「住まいの耐震博覧会@福岡・・・おまけ付」
   
   
   
   
   
  ●<たなか・こうじ> 宮崎県福岡事務所、林業技師 
   
   
   
 
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